翻訳を頼みたいけど、予算ある?
いつも翻訳で悩む予算。
この英日翻訳って高いと思いませんか?
英日翻訳とは、英語を日本に翻訳することです。
経済や政治、IT関連、機械、電気関連、医療などいろいろな分野で英日翻訳は需要があります。
日本語から英語に訳す日英翻訳の場合は普通、母国語を英語としているネイティブに依頼します。日本人でも優れた英訳をする翻訳家はいますが、いまいち信用できないからです。
多少費用がかかっても仕方ないでしょう。
しかし、英語を日本語に訳す英日翻訳は、中学・高校・大学でも散々やってきた人もいます。
ちょっと英語の得意な人が周囲にいる場合は、自分たちや社内でやることも少なくありません。
TOEIC800点や900円の英語の得意な人も、珍しくなくなりました。
また最近では、AI翻訳といって無料で翻訳してくれる便利なサービスがあります。試しに「英日翻訳」で検索してみると良いでしょう。
Google翻訳やエキサイト翻訳、Weblio翻訳、DeepL翻訳のWebサイトが表示されます。しかも、これらはすべて無料。
たとえばGoogle翻訳だったら、左スペースに英語を入力すれば、右スペースに日本語が表示されます。無料なだけでなく、速いです。1秒もかからずに翻訳されます。
こんな現状なので、いくらプロに依頼するといっても、10万円~100万円も翻訳代を払うのは抵抗ありませんか?
しかも、専門分野になってくると、プロの翻訳家に依頼しても、意味不明な訳文が出てきます。
「専門分野に強い翻訳家が作業します」と、営業担当者の言葉なんて嘘。
納品されたものをチェックし、あまりにも品質の悪さにショックを受けた人も多いと思います。
しかも言い訳は得意です。
意味理解して翻訳していますか?
とあなたがクレームします。
すると、
英語のニュアンスを残そうとすると、こういった訳文になるんです。
トラドス(Trados)を使っているので仕方ないです。
と、いうようにあらかじめ用意された応酬話法を使って、私たちを煙りに巻きます。
英日翻訳の相場は?単価を徹底比較
では、英日翻訳の料金相場はいくらでしょうか?
一般社団法人 日本翻訳連盟(JTF)が翻訳単価の目安を発表しています。
<出典:日本翻訳連盟 Webサイト>
翻訳料金は、専門性や難易度、翻訳量、納期などによって変わってきます。
私の経験では、実際には表示金額の20%~30%ぐらい安くなると思いますが、英日翻訳は20円~40円が相場です。
たとえば、A4用紙1枚で1,200文字の場合、ワード数は280ワード。つまり280×30円(単価)=8,400円になります。 あくまで目安です。難易度によって変わってきます。
A4用紙12枚で、なんと100,000円もかかってしまいます。
英日翻訳を安くする方法
翻訳料金をもう少し安くなりませんか?
と、翻訳会社などに相談すると、SDLインターナショナル社が発売しているSDL Trados Studio(通称:トラドス)という翻訳支援ツールを使った翻訳を勧められます。
この翻訳では、原文と訳文のペアを登録した翻訳メモリを使って、似たような文章を流用修正します。
過去に使った翻訳文を利用するため、翻訳スピードが上がるだけでなく、登録された翻訳メモリとのヒット率によって翻訳料金が安くなります。
最初は、初期投資で高くなるかもしれませんが、登録されている文章量が多くなれば、コストダウンできますよ
と提案されます。
しかし、トラドスを使った翻訳は、色々と厄介な問題があります。
- 翻訳メモリは、メンテナンスが必要なので、余計な料金が発生する。ひどい業者になると、メンテナンスをまったくやらない恐れもある。
- 過去に作成した訳文を利用するので、一対一の翻訳になることが多く、文脈上おかしな文章になる可能性がある。
翻訳メモリのメンテナンスは、想像以上に大変
トラドスの翻訳メモリは、メンテナンスが必要。
メンテナンスをきちんとやらないとどうなるか? 間違った文章や不適切な表現が残った状態になるので、そのまま流用されて二次三次被害を被る原因となります。
翻訳中に多くの流用候補が表示されるため、訳者が混乱してミスを誘発し、品質の低下につながります。
だからメンテナンスが必修ですが、一文ずつチェックする気の遠くなるような作業が発生します。当然、決して安くないメンテナンス費用も請求されます。
メンテナンス費用を無料にする業者は要注意。リピーターにならなくても良いと思っている可能性あります。
そのため、メンテンナンスをまったくやらず、納品時に翻訳メモリを渡して終わり。
変な訳文になる
トラドスを使うと、流用率が高くなるため、原文中の一語一語を忠実にたどって訳す逐語訳になる傾向があります。
訳者のスキルで差が出ますが、機械的な翻訳になって読みづらくなります。
「某機械翻訳レベルじゃないの?」
といったクレームも決して珍しくありません。
AI翻訳ツールを使った日英翻訳はどうか?
では、GoogleなどのAI翻訳ツールはどうでしょうか?
AI翻訳は年々進歩が著しい分野で、精度がどんどん高くなっています。
昔は、機械翻訳といえば逐語訳的に単語を置き換えただけのものでした。
やがて言語間の単語を統計的に機械が対応させる統計的機械翻訳(SMT)になり、今は人間の脳機能を模擬したニューラル機械翻訳(NMT)に進歩しています。
そのうち翻訳という職種は無くなるのでは?と懸念されるほどの勢いです。
では、AI翻訳は、機械翻訳技術がプロ翻訳家や翻訳会社に取って代われないでしょうか?
以下の問題をクリアする必要があります。
- 著作権に抵触する恐れがある。
- AI翻訳の精度が上がったとはいえ、翻訳された日本語がキレイとは言えない。
それぞれ解説します。
著作権に抵触する恐れがある
原文にも著作権があるように、翻訳にも二次著作物として著作権があります。
思想や感情を創作的に表現したものは著作権が発生します(高度な芸術性や独創性がなくても、個性が発揮されていれば良い)。
もし第三者が原書がある翻訳文を本として出版したいならば、原文と翻訳文のそれぞれの著作者に許可をもらわないといけません。
でも、AI翻訳の場合はどうでしょうか?
ウィキペディアには、以下のように書いています。
著作権 著作権の保護を受けるのは独創的な著作物のみであり、機械翻訳には創作性がないため、機械翻訳の結果には著作権の保護を受ける権利が与えられないと一般的に考えられている[15]。またそのように主張する学者もいる[16]。問題となっている著作権は二次的著作物(英: derivative work)についてである。原語で執筆された原著作物(英: original work)の著者[訳注 1]は作品が翻訳されたときに権利を失うことはなく、翻訳者は翻訳物を出版するには許可を得なければならない。
<出典:ウィキペディア >
機械翻訳の結果には、著作権の保護を受ける権利が与えられていないようですね。ただ、弁護士の中には、アルゴリズムに開発者の思想が組み込まれているため、著作権が発生する可能性があると主張している人もいます。
判例が増えてくれば権利の問題も出てくる可能性がありますが、今のところは機械翻訳のプログラマーが著作権を主張したと聞いたことがありません。
もちろん原文に対しては著作権は発生するので、注意してください。
AI翻訳の結果がキレイではない
ひと昔前と比べると、AI翻訳の精度が驚くほど上がっています。
そのうち翻訳家の仕事が無くなる可能性大。
しかし、現時点では十分ではありません。ところどころ読みにくかったり、意味がおかしかったりするところがあります。実際に翻訳してみると、わかります。
パブリックドメイン(著作権が切れたもの)の文章を使って、Google翻訳を使って日本語にします。
This manual on the paper-cutting machine has the distinction of being, as far as the author knows, the first book ever written on the subject. It will endeavor to help toward a better understanding of this important mechanism, its use and care, and it may also serve as a starting point from which subsequent treatises may be written.
<出典:Paper-Cutting Machines by Jr. Niel Gray> 裁断機に関するこのマニュアルは、著者の知る限り、これまでに最初に書かれた本であるという特徴を持っています。 件名。 この重要なメカニズム、その使用とケアについての理解を深めるために役立つよう努力します。また、後続の論文を書く際の出発点としても役立ちます。
意味を取るだけだったら十分ですが、お世辞にも読みやすい日本語ではありません。
だけど、日本語を少し手直しすれば何とかなりそうです。 紙裁断機に関する本マニュアルは私が知る限り、今までにありません。 その重要な機構や使い方、注意事項について、理解の助けになるでしょう。また、将来、論文を書くきっかけとして役立つはずです。
どうでしょうか?
意訳しているので、読みやすいと思います。
ゼロから翻訳するときに比べると、時間はあまりかかっていません。
「あれ?ちょっと変だなァ」と思うところだけ、英文をチェックしながら修正しました。AI翻訳に手直しをすれば何とかなりそうですね。
実は、この日本語の修正作業をポストエディットを言います。
ポストエディットの品質基準(ISO)もあって、最近注目されている技術ですが、現時点では通常の翻訳作業と比べると、どうしても見劣りします。
まとめ
英日翻訳の料金は、驚くほど高いです。
しかし、AI翻訳ツールの登場により、安くなる傾向にあります。
ただし、日本語的に不完全であるなど課題も残されています。
ポストエディットなどの技術も登場しているので、今後に期待したいです。