ライティング講座 その9は、日本語の助詞「は」と「が」がテーマです。ご存じの通り、「は」と「が」は主語を作る助詞です。
例
私は変態です。
私がやります。
ところで元々日本語には、主語が無いことを知っていますか? 学校の国文法で「『は』と『が』が主語を作ります」と教えているのは、英文法の影響を受けた国文法学者が権力闘争に勝ったからです。
昔、国文法には色々な学説があったのですが、「誰の説かが正しいか?」と争った結果、勝者の国文法が文部科学省に採用されただけの話です。それ以来、英文法と同じように国文法でも主語という文法用語を使うようになりました。
もしかしたら別の国文法が勝っていたら、日本の国語教育は変わっていたかもしれません。
その証拠に、学校では以下のような茶番が行われています。
「『は』と『が』の違いは何ですか? 」と生徒A。
「『は』は副助詞で、『が』は格助詞です。分かりましたか? 」と先生が解説します。
「ちょっと良く分から無いのですが……」
「決まり事なので、とにかく暗記してください」
理解できなかったら、取りあえず暗記してください、というのが先生らの口癖。
ぼくの偏見かもしれません。ちゃんとした先生がいたらごめんなさい。
というわけで本講座では、文法的な意味はあまり考えないで、「どうやって使えば良いのか」に焦点を当てて読んでください。
とはいえ、ライティング講座時はめっちゃ文法用語を使って解説してしまいました。今更ですが、反省しています。
新森さんへの課題「日本語の助詞『は』『が』の違い」
作成条件
「が」「は」の二つの助詞を使って文章を作成してください。
- 助詞は必ず主語の一部とすること。
- 50字以内。
- 期限は1週間以内。
学校の国文法を真面目にやった人は、意外に難しいと思います(^^)
新森さんの提出文
私が最近ハマっているのは、スーパーの特売を駆使しておかずの品数がどれだけ増やせるのか考える事です。
以上です。
助動詞を主語の一部にするとはこれで合ってたでしょうか?
なんだかオカシイような。。
間違ってたらごめんなさい
夏川の回答・解説
細かく解説します。
最初に、「ご確認をお願い致します」とはあまり言いません。以下のように書きます。
ご確認願います。
または
確認をお願い致します。
確認をお願い申し上げます。
この辺は決まっているので、形を覚えましょう! 敬語は別の機会でやります。僕も苦手ですが(^^;;
さて、本題です。
私が最近ハマっているのは、スーパーの特売を駆使し
提出文
ておかずの品数がどれだけ増やせるのか考える事です。
日本語として間違っていませんよ。
ただ、「私が最近ハマっているのは、」は、主語的な働きをする副詞節で、厳密には主語ではないです。主語=名詞+助詞(は、が)。「私が」は主語です。
出題の仕方が悪かったと思います。今後は、できるだけ文法用語を使わないで出題します。
あと、「品数が」のところは「品数を」にした方が良いでしょう。理由は、別の機会に説明します。
では、「が」「は」の解説をします。
「が」は、人や物の主体を表します。
「は」は、既知の人や物を説明するときに使います(「は」を使う主語を表題語という人もします)。
「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました」
国文法では、どちらとも主語ですが、使い方が全然違います。
最初の文の「が」は、おじいさんとおばあさんは初めて登場するので「が」を使います。次の文の「は」は既知の情報なので「は」を使います。
ちなみに英国人向けの日本語参考書には、a car= 車が、the car= 車は、と説明してありました。 つまり不定冠詞→「が」、定冠詞→「は」になります。
使っていくうちに理解も深まっていくと思います。
新森さんの返信
敬語に関しては普段からも使っていたので、指摘して頂いて助かりました。
「が」と「は」の違いはまだ理解しきっていないですが、少しずつでも分かるようになっていきたいです。
おじいさんをAとしたとき、
「ある所にAがいた。
Aは山に芝刈りに行った」
「は」を使うときは既にAについて知ってる時という事でですよね。
ありがとうございました。
まとめ(助詞「は」と「が」の違い)
今回の講座では、「は」と「が」について出題しました。慣れればそんなに難しくありません。
「が」の使い方より「は」の方が複雑です。
例えば以下のように書くこともできます。
おじいさんを見つけました。挨拶をすると、おじいさんは「おはよう」と叫ぶように言いました。
「を」→「は」のパターンですね。「は」というのは物事を説明するときに使う助詞なので、最初に使う言葉は「に」「へ」でも良いのです。
この辺は、別の機会があれば説明したいと思います。
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